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(聖書の女性達 No.12)
  
 

 「ルデヤ」

 

○ヨーロッパにおける福音の初穂

   ルデヤはパウロの第二伝道旅行において、ピリピという都市でパウロが伝道した時、主が彼女の心を開いてイエス・キリストを信じた女性です。パウロの一行にとって、ピリピがヨーロッパ地域で最初に伝道をした街であります。彼女は「テアテラ市の紫布の商人で、神を敬うルデヤという婦人 」(使徒16:14)とあるように、ピリピ出身ではなく、小アジアのテアテラ市(黙示録の七つの教会の一つ、黙示2:18-29参照)の出身の異邦人でした。
 
当時、その街に十人以上の成人のユダヤ人がいればユダヤ人の会堂が建てられていたそうです。この街にはユダヤ人が少なかった為か会堂がなく、代わりにユダヤ人女性たちと、神を求める異邦人たちが川辺で祈りを捧げるために集っていました。パウロはその川辺に行き、このグループの人々にキリストの福音を語りました(14節)。そしてその場で聞いて信じたのは異邦人のルデヤだけだったので、彼女がヨーロッパにおいて最初のキリスト信者となったのでした。
 
○主が彼女の心を開かれた

   「主は彼女の心を開いて、パウロの語ることに耳を傾けさせた。」(14節) ルデヤがこの川辺の祈りの場にいたということは、明らかに彼女らが信じるヤハウエが真の神であるということをある程度信じ、求めていたから、共に川辺で祈っていたはずです。ルデヤはパウロの語る福音を真剣に聞き、その場で信じ、さらに彼女の家族も信仰に導かれ、皆バプテスマを受けたとあります(15節)。
 
 人がどのように福音を聞いて、それを信じるようになるかはそれぞれ異なります。キリストに関する情報、福音を聞いて、それを信じる。このプロセスには、人間側の自由意志だけではありません。もちろん自分で決めて信じたという面もありますが、それ以前に主がその人の心を開かれるから、奇跡的に福音を信じることが出来ます。つまり人が信じるということさえも、神の側の働きがあり「あなたがたの救われたのは、実に、恵みにより、信仰によるのである。それは、あなたがた自身から出たものではなく、神の賜物である。 」(エペソ2:8-9)とパウロが記しているとおりです。
 
○家族への伝道

  ルデヤの家族については聖書に記されていませんが、彼女自身が紫布の商人という、当時高貴な人たちしかまとえなかった布の商売をしていたことから、その家は裕福で、彼女が家長的に家計を支えていた可能性があります。もしくは、彼女の父か夫がしていた事業を引き継いだかもしれません。いずれにしても、彼女は家族に対する影響力があったようです。しかし、これも聖霊の働きにより、主が彼女の家族の心を開かれたからこそ、皆も救われました。
 
その後ピリピにおいて、パウロとシラスが占いの霊に憑りつかれた女奴隷から悪霊を追い出し、その主人から訴えられ牢に入れられた時にも、同様のことがその看守におこります。看守が救われる為にどうしたらよいかと尋ねた時、パウロは彼に「主イエスを信じなさい。そうしたら、あなたもあなたの家族も救われます」と言い、実際その通りになりました(31-33節参照)。つまり、ルデヤの家族のケースは、後に看守とその家族におこりうることを実証しています。
 
 
こうして、ピリピではルデヤと看守の二家族から主の教会が始まり、後にパウロは獄中からピリピの教会の人々に手紙を書いています。その手紙では「喜び」という言葉が何度も出てくることから、ピリピの教会は愛に満ちていたようで、二人の女性信徒間の対立があったにしても(ピリピ4:2-3参照)、総じて非常に健全な教会として成長し、それがパウロの喜びであったことがわかります。
 
○ルデヤの献身と奉仕

  
 彼女が信じてすぐに、パウロとシラスに家に滞在するよう強いて勧めたことからも(この”しいて~させた”というギリシャ語は、この箇所と、新約聖書ではエマオの途上で二人の弟子に現れた復活の主イエスに、彼らが一緒に泊まるように「しいて引き止めて (使徒24:29)」の箇所だけに使われている)、単に彼女が押しの強い性格だったから強いたのではなく、彼女の救われた喜びが行動に表われている故の熱心さであり、つまり伝道者たちに仕えたいという献身的奉仕の表れと読み取れます。
 
またピリピの手紙にあるように、パウロの働きのために経済的に支援していた教会はピリピの教会だけでした(ピリピ4:15-16参照)。ピリピの教会がこのようにパウロを献身的に支援したことは、そこでの信仰の初穂であるルデヤの影響があったからでしょう。そしてパウロはピリピの教会の贈り物を通して、霊的祝福に預かることができたのです(ピリピ4:17-18参照)。
 
ルデヤはピリピの教会の形成において献身的に貢献した女性として、現代の教会での私たちの信仰と奉仕の姿勢について、彼女から多くのことを学ばされます。また、ルデヤの家族の救いを通して、私たちにも家族の中でまだ主を信じていない人々がいるなら、諦めずに、聖霊の力強い働きを信じて、救われるようとりなしの祈りをしていきたいと励まされます。
 
ルデヤの家族の救いを通して、私たちにも家族の中でまだ主を信じていない人々がいるなら、諦めずに、聖霊の力強い働きを信じて、救われるようとりなしの祈りをしていきたいと励まされます。私たちが今置かれた立場において、教会の必要のために、牧師・伝道者を支援するために、惜しまずに分け与える賜物(ロマ12:8参照)は、神様が喜んで受けて下さる香ばしいかおり(ピリピ4:18参照)になることを示されます。
 
 
”聖書の中の女性達12 ルデヤ 「恩寵と真理」 2017年12月号 同信社 掲載


 

   
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