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胃切除の後遺症:ダンピング症候群と東京マラソン3万人という数」 Feb. 21, 2009, Vol 8


○退院後の血液検査 


 26日、受診の日、血液検査を行ってその結果を見てからの先生の診察であった。外科外来の待合室は相変わらず混んでいた。お年寄りが多く、これらの患者さんはこれから手術を受ける人もいえれば、手術後の経過観察の人もいるのであろう。座る場所もないほど混んでいてたため、病院外のマックドナルドへ行って、2回目の朝食?を食べて待つことにした。一時間半後に戻って名前が呼ばれた。「柴川さん、今朝は朝ごはん食べてこなかったの?」と先生。「いえいえ、しっかり食べて、今2回目を食べてきたころです、何か?」先生は「うーん、血糖値が40しかないんだよ。普段、めまいとかふらつきとかない?」低血糖?私は逆にあまりにいつも甘いものを食べているので、糖尿病になったりしてと思っていた程。今までめまい・ふらつきはなかったことを話す。血糖値は健常な人の場合、空腹時血糖値は80-100mg/dlぐらいだそうで、食後に血液検査をすれば多少高くなるが、それは食後だから正常範囲。どうしてなんでしょう?と先生に聞くと、どうも、食物がすぐに小腸へ送り込まれるのでインシュリンが過剰に分泌されて低血糖を引き起こすのだろうと。対応策は、ゆっくりと食事をし、こまめに少量ずつ何回も食べることだそうだ。もし、低血糖症状(めまい、たちくらみ)が出た時は、飴やチョコレートといった甘いものを持ち歩いて食べること。なんだか、糖尿病の患者さんのようである。幸いにして、私は言われなくても甘いものが好きで、いつも食べている。職場でも許可を頂き、頻繁にチョコやクッキー、ドライフルーツ等を食べている。だから、今まで低血糖になっていても、まめに口に入れていたから症状が起こらなかったのかもしれない。もちろん血液検査というのはその時点での健康状態で変わるもので、いつもこの数値かどうかはわからないが。


○ダンピング症候群

ネットで調べてみると、この低血糖を引き起こす後遺症はダンピング症候群と言うそうである。胃切除後に胃の機能の低下のみならず、その後の消化管の再建方式(ルーワイ法)により、正常の食物の消化経路とは異なるため、消化管ホルモンの分泌調節に異常をきたすという考え方だそうだ。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)“胃切除術”より』)普通の体は食物を摂取すると、食道→胃→十二指腸→小腸とくるが、私の場合、手術後は十二指腸は通らず(十二指腸は残っているけどつながれず、先生いわく“遊ばせておく“)、切り残された胃が直接小腸へつながっている。従って栄養分がうまく吸収されにくので体重減少・貧血・骨粗鬆症等も起こりうるそうだ。先生の指示通りに食事の取り方に引き続き気をつけるしかない。また適度な運動もよいそうだ。適度な運動は体力がつき、消化器の運動を活発にし、筋肉がブドウ糖を貯蔵するのでダンピング症候群の低血糖予防になる。運動すると骨にも負荷がかかるため骨粗鬆症の予防にもなるそうだ。まっ、神経質にならず、食べることが好きというアドバンテージを生かし、たくさん食べて、よく歩こう。一年位たったら、軽くテニスをするとか、ジムに行って筋力をつけようかと思う。私の課題はゆっくり食べること。慣れて色々食べられるようになってくると油断して、今までのようにあまり噛まないで呑み込んでしまうのである。

○東京マラソン参加者3万人という数

(1998年11月NYCマラソン参加)

 職場に復帰してから早5週間が経過。ちょうど仕事に復帰した時期と重なり、家で私用で集計しなければならない会計の入力等があって、仕事から帰ってきてその作業を行ってた。職場でも電話対応のほかに、主にパソコンで資料作成やデータ集計をしていたせいか、肩こりがひどくなった。肩だけでなく、頭の先から足の先まで右半身が変なしびれのような、違和感があり、右半身というのが気になって、先生に受診の時に念のため脳神経外科受診を手配してもらった。「まさか、脳梗塞とかおきていないだろうなあ…」脳外科では、脳のCTをすぐに取ってもらったが画像診断上は何もないとのこと、もし、今後右半身のしびれ感が続き悪化するようであればまた来て下さいと医師に言われる。ホットした。また最近、横腹の痛みもあり、その検査は日を改めて造影剤を使ってCTを取ることに。おそらく急に勤務を始めて単なる疲れからと思われるが、大きな手術後だから念のために検査してもうことにした。2月の中旬ようやく作業も終わり、家に帰って休めるようになると横腹の痛みも軽減してきた。やはり単に、体を使いすぎだったのである。「無理しちゃ絶対だめよ!」といわれても、誰も代わってくれないことはやるしかない。私はまだ無理しても後で休みをとるタイプなので幸いなのかもしれない。また精神的に落ち込んだり、状況がきつくても、キリストを信じる信仰という大きな支えがあり、一緒に祈ってくれる友も与えられている。しかし、ある人にとっては肉体的にも精神的にも無理を続けてストレスがたまり、体調を壊し、周りに相談する気力も失われ、気づいた時には取り返しのつかないことになることもある。それが単に個人の責任ではなく、多くはその人の属している集団・総合的には社会全体のシステムに起因するものがあると知る機会が与えられたのだ。


 219日の午後、折しも東京都の在宅福祉/医療保険サービス指導者研修に参加した。内容は日本の自殺者の現状を踏まえた“生きることを支援するゲートキーパーとは“であった。自殺は社会現象で、多面的な要因が一人の人を自殺に追い込んでいくというプロセスを解析したNPO(ライフリンク)の方や東京都保健センターの医師から講義を頂き、また遺族の会の方から、残された家族の思いを実際に聞く機会が与えられた。遺族の話を聞いていて涙が止まらなかった。自殺は決して一部の弱い人だけに起きうるものではないと認識した。自殺を防止するため、なんとか早期発見・早期対応を地域全体で支援していくかが課題であることを深く考えさせられ、相談援助業務をする一人の者として、研修の中身は非常に濃かったし重要と受け止めた。どこの窓口で、その人が抱えている氷山の一角の相談を受けるかわからないのである。だからこそ、一つ一つ受ける相談の重要性をつくづく思わされた。この研修で更に学んだことは:多くの中高年の男性の自殺の要因は職場での苦悩、一方で年代を問わず女性の自殺者の数が多い市町村もある。つまり地域性があるのである。どうして、誰にも相談せず自分を追い込んでしまうのか。人は知らず知らずにして、いくつかの困った事に直面し、周りに相談窓口があっても心理的にも視野が狭窄してしまい、相談できずにどんどん次の危険因子が作り出され悪循環になって追い込まれていく。過去11年間、毎年3万人余りの方が自らの命を絶つ。強烈だったのは、3万人というのは東京マラソン参加者の数と同じだと認識した時。NPOの代表の方がカメラで撮られた東京マラソンの3万人の走る様子とその声援をVTRで見た時、これと同じ数の人が…と嗚咽をこらえた。そしてVTR上のマラソンを声援する声が、あたかも命を絶った3万人の方からの叫びのように聞こえてしまったのは、偶然ではないと思う。

 マザー・テレサ(イエス・キリストを信じ、また直接神様から“貧しい人に仕えなさい”とのミッションを示され、インドのカルカッタで死にゆく貧しい人々に仕えた)が、日本に来て言った言葉のなかで、“この国は物質的には豊かだが、精神的には貧しい”と言われたことを思いだし、命のことを思った。今までは自分は命が助けられたと単純に喜んでいた。それはそれですばらしい感謝な体験。一方でこの研修に出るまで、”生きたい“という思いが壊されてしまう方々の苦悩についてあまりにも無関心・無知だったことを痛感させられた。私はこの事に対して実質的に無力である。でもこの事に気がつかされた時、職場での認識を変えるだけでなく、とにかく、今現在苦悩している方のため、また残された家族のため、祈っていこうと思った。神への祈りは時空を超えると信じているから。


   
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