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                シリーズ: 聖書の中の女性達                     
                                          

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Vol1 「人類最初の女性エバ」


「人が、ひとりでいるのは良くない。わたしは彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」(創世記218

 ○エバの創造:男性の助け手

 

 聖書で最初に登場する女性はエバです。エバの名前は「すべて生ているものの母」という意味で、最初の人であるアダムにより名づけられました(創3:20)。聖書には彼女の外見的な美しさや性格について何も記していません。「人が、ひとりでいるのは良くない。わたしは彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」(創2:18)という彼女の創られた経緯が記されていて、神様は一人の男性と一人の女性が一体となるように結婚をデザインされました(創1:272:24)。例え聖書の概念が無い国でも、歴史的に人々は男女で結婚し、家庭・社会を構成してきたという伝統が有りますが、現代はそれが歪められてしまっていることに心が痛み、ただ神様の憐みを祈るばかりです。

 ある人々は「聖書は女性蔑視だ。」と指摘しますが、蔑視を作り出したのは人間であり、神様ではありません。かえって、女性の地位が低かった時代でも、聖書では神様が女性に立派な役割を与えて用いられ、人として高められていることを、イエス様の女性たちに対する扱いやお言葉からも明らかです。箴言31編にも、女性が家庭を収め、仕事でも活躍する様子が描かれています。しかし、女性の就く仕事の種類にもよると思います。なぜなら、今は女性が強くなったと言われていますが、生物学的に男性と女性とでは骨格・筋力の構造等異なります(1ペテロ3:7)。神様の創造された、性別的本来の役割という概念からかけ離れた人権・平等という時代の流れは、かえって女性に重荷を増し加えているように思います。

 

○誘惑された結果:呪い

 

 エバは神様からの約束を直接聞いたのではなく、アダムからその内容を伝え聞いています。ここに誘惑に騙されてしまう弱さの一要因を見い出し、彼女がその約束を正確に把握していないことは、誘惑者である蛇との会話からわかります(創3:1-5)。彼女は自分が食べただけでなく、夫にもそれを勧めてしまうという大罪を犯しました。その結果、彼女の罪に対する呪いとして、産みの苦しみが大いに増すこと、夫を恋い慕い、夫に支配されるようになることという二つの苦難がもたらされました。近年は歪んだ夫婦関係において、家庭内暴力や、「モラル・ハラスメント:モラハラ」(精神的暴力)により、男性が威圧的に女性の生活・人生全てを支配しようとし、その関係から解放されずに苦しみ悩んでいる女性達が多くなっています。これらは、本来のアダムとエバが持っていた麗しい関係が、罪のゆえにもたらされた呪いにより歪められことを裏付ける状況ではないでしょうか。夫婦共々、神様の創造された結婚が祝福されたものだということを覚え、イエス様が罪から解放するために十字架にかかって下さったいう信仰で低くなり、互いに愛し合おうとすることが夫婦の問題解決の鍵になるでしょう。これは決して容易なことではないと思いますが、必ず神様は答えて下さるという信頼をもって祈り求めれば、忍耐と平和な道が与えられると信じます。

 

○エバの希望:神様の憐みと恵み

 

 このような罪の結果にも関わらず、エバは一つの希望が与えられました。それは蛇に対する呪いの中の、女の子孫が蛇の子孫の頭を踏み砕くこと(創3:15)に含まれています。ここは聖書で初めて福音が示されている箇所であり、この女の子孫は救い主、イエス・キリストを指し示しています。聖書には彼女の心の内は記されていませんが、おそらく彼女は自分のしてしまったことに対する絶望感、恥、責めなどから、顔も上げられない程打ちひしがれていたことでしょう。

 それにも関わらず、神様は彼女に一つの希望(いつかこの悪の蛇の子孫を、自分の子孫が打ち砕く)を与えられたのです。そして、憐み深い神様は彼女を生かし、救い主が彼女の子孫を通して産まれるという特権を与えられました。その後、エバの胎を通して新たな命(カインとアベル)を産むという、大きな喜びが与えられましたが(創4:1-2)、カインがアベルを殺害するという、人類初の殺人という悲劇が起きて、カインは追放となり、エバにとって苦しんで産み育てた子供二人を一度に失うという、辛く悲しい試練を受けました。しかし、神様は更に二人にセツ(“任命されたもの”の意味)を与え、このセツから信仰の家系が始まり、このセツの子孫から、神様の約束のとおり人としてのイエス様が生まれることになります。エバはこのセツの誕生により、この悲しみを乗り越え、再び神様の約束に支えられたでしょう。

 エバは、肉の弱さにより蛇に騙され神様に背き、その影響が人間の代表であるアダムの子孫、全ての人間に及んでしまうという、償いきれない大きな罪犯してしまったのですが、「罪の増し加わるところには、恵みも満ちあふれました。」(ロマ5:20)とあるように、彼女こそ、人類最初の神様から深い憐みと、驚くべき恵みを与えられた女性でした。エバは試練の中にあっても、神様の約束を信じて待ち望んだであろう女性のケースとして、私たち女性も、神様から与えられたその役割を覚えて自身を喜んで捧げ、自分の弱さ・失敗に落ち込まず、神様の約束に目を留め、恵みにより歩んでいきたいと励まされます。


(引用:
新改訳聖書より)  


*創:創世記


「恩寵と真理」 2016年2月号 同信社 掲載

 

 
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